椎葉村秘境サウナデザインコンテストのレンダリングについて
メインパース

前回の記事でご紹介した、椎葉村秘境サウナデザインコンテストに参加した際に作成したレンダリング画像について、ご紹介したいと思います。

👆👆前回の記事 コンペ概要、提出作品のアイデアについて

椎葉村秘境サウナデザインコンテストについて

日本三大秘境」のひとつ、そして「日本で最も美しい村」とも呼ばれる椎葉村で、広大な絶景を望みながら「ととのう」サウナの提案を募集するものでした。

https://shiiba-sauna.com/

今回は239点の作品が応募され、私が単独で提出した作品は審査員特別賞に選ばれました。

作成したレンダリング画像

デザインの検討とプレゼンテーションボードの作成において、モデリングとレンダリングにはBlenderを活用しています。ポストプロダクションはPhotoshopを使っています。

レンダリングのインスピレーション

川の上にサウナを建てるというコンセプトを、より魅力的に表現できるように、Stable Diffusionによる画像生成を活用したインスピレーション収集を行いました。今回のコンセプトに適したテキストを入力して画像を生成しました。

https://huggingface.co/spaces/stabilityai/stable-diffusion

Stable Diffusion Demo

他にも何枚かイメージを生成しました。サブパースを昼の絵にしようと考えていたので、メインパースは夕方にすることにしました。

Stable Diffusion Demoで生成したイメージ

敷地の作成

想定した敷地の3Dモデルを作成するために、事前に別の敷地の渓流を探索してきました。

愛知県豊田市足助町周辺の渓流

3Dモデル作成に活用できるかもしれないと思い、LIDARが搭載されたiPhoneで3Dスキャンを行いました。今回は”3d scanner App”を試してみました。データフォーマットはobjでBlenderに取り込みました。

3d scanner Appでスキャンしたモデル

何回か試してみて、いくつかバリエーションを用意しました。Blenderに取り込んだ後、分離した破片やノイズを処理しました。

近景のレンダリングに耐えられるように、Kubocarteさんが公開している品質の高い無料の岩の3Dモデルを取り入れました。

https://kubocarte.gumroad.com/l/Lichenrock

Lichen Rock

https://kubocarte.gumroad.com/l/Mountain-rock

Mountain Rock

BotaniqVegetationのモデルと組み合わせて、敷地を構成していきました。

サウナストーブの炎と煙

サウナストーブの炎は、いくつかのアングルでも見ることができるように、3次元空間上にモデルとして配置することを考えました。Blenderの煙シミュレーションで炎を生成することも検討しましたが、レンダリング時間の短縮を考慮して、プロシージャルマテリアルによる表現を選択しました。

Simon Thommesさんが公開している無料のシェーダーを試してみました。ダウンロードはこちら👇👇

https://simonthommes.gumroad.com/l/BRNbl

Simon Thommesさんは他にも品質の高いプロシージャルマテリアルをたくさん公開しています。

https://simonthommes.gumroad.com/

煙突から出る煙はメインパースからのみ見えるので、2Dの写真を加工して、白い部分を発光させ、黒い部分を透過するように設定しました。

人の表現

メインパースに使用した逆光を浴びる人は、2Dの写真をBlenderに取り込んで表現しました。同じ写真を少し後ろにずらして複製し、後ろの写真を発光させることで、沈んでいく夕日を浴びながら休憩する人を表現しました。

コースティクスの表現

水面が軒裏に反射するコースティクスの表現は、正確な反射から描画されたものではありません。太陽の位置や角度との整合性や、レンダリング時間の短縮を考慮して、スポットライトを活用しました。スポットライトのシェーダーに煌めく水面の写真を組み合わせることで、スポットライトを向けた任意の場所にコースティクスを映すことができます。

スポットライト活用したコースティクス

サウナの架構のモデリング

サウナの架構は、Geometry Nodesによって、一枚の単純なPlaneからプロシージャルに生成されるように構築しました。

Raycast Nodeを活用して、柱が岩の形に合った長さになるように設定しました。

ドローイング表現

建築のプレゼンテーションボードで見られるような、図面のような表現もBlenderから書き出しています。

CompositeNodeやFreestyleで調整しているわけでなく、ビューポートから直接書き出しています。

今回のビューポート設定

終わりに

今回のコンペは、デザイン検討からビジュアル作成まで一貫してBlenderを活用しました。次のコンペにおいても、またBlenderを使って挑戦してみたいと思います。