現代に蘇る金剛夜叉明王像
夜叉・鬼として畏れられた存在が、守護神へと転じていく背景に着目しながら、金剛夜叉明王像を現代の身体感覚で彫り直したデジタル彫刻。三面六臂・五眼という強い記号はそのままに、視線の密度と手の所作、重心の置き方で、畏怖をそのまま怖さとして提示するのではなく、静かな強さが内側から立ち上がる佇まいを目指した。

顔は怒りの表情に寄せず、内に秘めた意志が伝わるように表情を引き締めた。手は攻撃のためではなく、法具を静かに支えるように構えさせ、全体のシルエットは強さと落ち着きが同居するバランスへ調整した。

制作プロセスでは、デジタル彫刻で人体骨格・筋・表情・装飾をモデリングし、多眼・多腕のポージングを成立させた上で、自然光を意識したライティングとエイジングされたマテリアルで像の存在感を整えた。



伝統造形をただなぞるのではなく、畏怖と守護のあいだにある微かな温度を、現代の制作言語で再構成する試みである。

Rendering :
Shiotsuki Takuya
Photo :
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Partner :
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Award :
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2024

